倒福提灯のとうふくとは?その意味と由来について(伝承の私的訳つき)

倒福提灯

中国や台湾の文化の中で、福の文字を逆さにして飾る、倒福と呼ばれる物があります。

私たち日本人には馴染みの薄い文化ですが、街にある中華料理店などでも見かける装飾なので、どんな意味があるのか?気になっている人も多いでしょう。

そこで今回は、この倒福に関してご紹介すると共に、倒福提灯にも触れていきます。

倒福とは?どんな意味があるの?

倒福とは、福が至る・・・つまり、我が家に福がやって来ることを願って飾ります。

いつの頃から飾られるようになったのか?歴史的に確認されている物では、西暦960年から1279年まで続いた中国は、宋の時代に記された夢梁録に記録が残っていることから、それ以後、ずっと続いていると思われます。

また伝承として、13世紀、中国は明の初代皇后である馬皇后の逸話が有名です。

なぜ上下逆さまに福を飾るの?

先程触れた馬皇后の逸話。それが福を上下逆さまに飾るようになった理由なのか定かではありませんが、現代に受け継がれていることからも、有力な説と考えて良いでしょう。

馬皇后の逸話をざっくりまとめてみました。なお一部、脚色しています。

旧正月にあたるある日の春節、明の初代皇帝 朱元璋がお忍びで城下散歩していた際、ある家の門口に飾られた年画に目が止まる。

豊作やら幸運やらを願って飾られる年画には、本来、政治的な意図や悪意のような物を込められることはないはずだが、この家に飾られている年画はどうもおかしい。

まるで自分の妻である馬皇后が、民間出身であるため、気品にかけているとあざ笑っているかのように見える。

この年画を描いた絵師は誰だ?! すぐさま朱元璋は家臣に、年画を描いた者を見つけ出せ!直々に私が処罰してやる! と意気込みます。そしてさらに続けます。関係のない者たちの家には、福の文字が書かれた紙を貼っておけ! よいか?!

こんな感じです。

その話を聞いた妻である馬皇后。この方は、朱元璋がなぜだか言う事を聞く、ただ一人の人物だったそうで、夫のブチギレにより、誰かの命が消されてしまう・・・!と民衆に同情したらしく、明け方までにすべての家に福の文字が書かれた紙を貼る様に命じました。

さて翌朝。さーって、そんじゃヤッてきますか!ってな具合に、勇んで城下へ出向くと、全部の家に福と書かれた紙が貼ってあるではないですか。

むむむ・・・むむむ・・・と一軒一軒、ギラついた眼光で睨みつける朱元璋。ぐぬぬ・・・ぐぬぬ・・・と、行き場のない怒りが空回りし始め、声にならない声が唸りとなり喉の奥で膨れ始めたその時、朱元璋の瞳がキラキラと輝き出しました。

なんだー!あの家は!!! なぜ福を逆さまに貼っているのじゃ!!!!! 民衆は生活に困窮しているってことをアピールしてるんじゃないか?! このワシに!皇帝であるこのワシに!!! なんてやつだ!なんて無礼なやつだ!! 者共、何をしておる!あの家の者をこちらへ連れてまいれ!!! 首を叩き切ってやるっ!!!!!

大変です。漢字を知らなかったから、貼り方を間違えたこのお宅。大ピンチです。だってこれはもう、単なる言いがかりです。皇帝から因縁をつけられただけです。

しかしその時、馬皇后が歌うように語り始めました。

まぁ、なんという歓迎でしょうか! あの家の者は、あなたが来ることを知って、あえて福の文字を逆さまに貼ったのですよ! 福が至る・・・つまりは、福であるあなたがやって来ることをああいう形で表現したのですよ! と。

それを聞いた朱元璋。他の誰でもない、唯一言うことを聞く存在、そして嘲笑を受けたとされる本人、妻の馬皇后からそんなことを言われたら、それは素晴らしいことだ!と、喜ぶしかありません。

こうして馬皇后の機転により、罪のない一家が救われ、この時の話が後世に伝わったことで、春節になると、倒福が今も行われています。

ちなみに、現在では福=幸福の意味を持ちますが、昔の中国では、福=福気や福運を意味していたそうです。

福が至るとする倒福は、副気や福運と言う意味の下ですと、意味合い的にすんなりと受け入れられます。

倒福の飾り方は?

倒福の飾り方に難解な手順はなく、家の門口、家屋内、今なら玄関や居間などに福と書かれた紙を上下逆さまに貼るだけです。

基本的には、外から見える部分に貼る決まりがあるようです。福が押し寄せることを意味するのであれば、こうした基本ルールは当然と言えるでしょう。

紙に福と書いて貼るのは、すぐに破れてしまいそうな不安がありますから、シールやステッカーなどを貼るのがスマートでしょう。

またこの時、ベースの紙は白ではなく赤にするのが一般的なようです。さらに福の文字は、書で書かれた物から、布に刺繍された物まであります。

さらに、現代では中華料理店で見かけるとした様に、別に春節ではなくとも、装飾として飾っている場合が多々見られます。

それはこれから触れる倒福提灯の影響もあるでしょう。

倒福提灯を飾る時のポイントは?

最後に倒福提灯について。倒福提灯ってなんだ? って言うと、中国提灯に福と言う文字が入った・・・ただそれだけの物です。

問題は、どんな風に飾るのか? ですが、単純に通常の提灯と同様に飾ります。通常と言っても、それはあくまでも中国提灯の通常となっています。

とは言え、日本と中国。提灯の飾り方に大きな差はありません。飲食店であれば、店の軒下に吊るしていたり、看板代わりに吊るしています。

ただ、中国提灯は、縦に連結して吊るすと言う設置方法が度々見られます。これはベーシックな日本の飾り方にはないものなので、特殊と言えば特殊かもしれません。

倒福提灯を設置する際、こうした吊るし方も見栄えがしますし、中華って感じがするのでオススメです。

ちなみに当店では、中華提灯を平時から取り扱っている訳ではございません。なので、もし中華っぽい物で、倒福提灯を作りたいのであれば、お気軽にご相談下さい。

もちろん、日本型の長型や丸型で倒福提灯をお作りになるのであれば、無料お見積りをご利用下さい。

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